何よりも~未然防止が肝心です。
労働基準法と申告制度。
労使トラブルは、労働基準法にかかわる部分と、それ以外の部分に分けると考えやすい。
労働基準法違反については、最悪の場合、書類送検・刑事罰というケースがありうる。
労働者が、姓名を明らかにして、労基法違反について自らの権利回復をもとめるのが申告制度。申告があれば、労基署はかなりの確率で事業場の調査をおこなう。
労基法以外のトラブルは、民事上の問題なので、訴訟でしか決着がつかない。しかしながら、少額訴訟や労働審判に持ち込まれるリスクが全くないわけではない。ユニオン(合同労組)が介入するリスクもある。
解雇に関する基礎知識。
30日前に解雇予告をするか、解雇予告手当を支払うことで労基法違反は無くなる。
労基法違反とは別に、民事上の不当解雇なのかどうかという問題が残る。あくまで一般的傾向だが、訴訟に持ち込まれたら事業場不利。(個別のケースによるが・・・・)
仮に訴訟で不当解雇の判決が出た場合に、会社のこうむる金銭的損害はそれなりに大きい。
就業規則に解雇事由をきちんと定めるのがトラブル防止の第一歩。
年次有給休暇の基礎知識。
一定の出勤率を満たせば、たとえ週1回のパートさんにでも年次有給休暇の権利は発生することになっている。「うちの会社に年休はない」はありえない。
年次有給休暇を請求されて、「別な日に変更します」は可能。「取得させません」は労基法違反。
退職にあたっての年休消化は、退職日までをすべて年休消化にあてられたらほぼ拒否できない。欠勤扱いは労基法違反。
パワハラについての基礎知識。
パワハラとは、おもに人格権の侵害をめぐる民事上の問題である。
民事上の問題なので、最終的には訴訟でしか決着しない。訴訟での立証責任はパワハラを受けた側にあるので、一般的傾向として訴訟に持ち込んでも立証困難。(個別のケースによりますが・・・)
確率が低くても企業責任が問われるケースはありうるし、訴訟になっただけでも企業イメージの低下は否めない。調査し事実があればきちんと対応すれば責任は軽減するが、使用者責任は残る。
ADR(裁判外紛争解決手続き。労働局や都道府県労働委員会のあっせんなど)を利用しての和解という解決策も。
発生してしまったら~基本はまず話し合い。言いなりになる必要はないが、誠実に。
労基法関連(未払い残業代、年次有給休暇、解雇予告手当など)
労基法についてのトラブルは、労働者が労基署に申告すれば、ほぼ確実に労基署の調査が入る。その点を踏まえ、社内できちんと事実確認をし、必要なものは支払うべき。
法的に支払いの義務がないと考えるのであれば、労基署の是正勧告や訴訟を覚悟で自らの主張にこだわるという選択もある。
労基法以外のトラブル(パワハラ、不当解雇、懲戒、雇い止め、減給など)
民事上の問題なので、まずは話し合いでの解決が基本。最終決着は裁判だが、労働審判や少額訴訟、ユニオン(合同労組)介入のリスクは見過ごせない。
ADR利用の和解も解決策のひとつ。